インドGDPリベースの早期評価

CEIC India Data Talk - May 28, 2015 先日、インド中央統計機構(CSO)が2012年3月末までの会計年度を新たな基準年次として国内総生産(GDP)のリベースを行いました。新たに発表された2011年から2012年の国民経済計算(NAS 2011-2012)では、算出方法や分類システムが変更され、新しいデータソースも追加されています。また、CSOはこれまでの要素価格から市場価格の採用へと移行しました。これらの変更により、一般的に用いられている国民経済計算(SNA)の数値に近づき、インドのGDP統計も同様の基準を採用している他の国々と一致するため、国際的な比較も可能となります。 新たな数字には、より正確な生産高を算出するためにインド全国標本調査など複数の調査結果を含むインド企業省(MCA)の追加データソースも反映されており、これらのデータはインドの非公式な(未公認の)経済の相対的な規模を把握する上で特に重要となっています。データソースの追加や統計の算出方法の変更により、その結果は以前のシステムと大きく異なり、成長率やGDP関連の数値にも影響を与えています。新たなNAS 2011-2012によると、インドは2014年3月末までの会計年度における市場価格をベースとしたGDP成長率が6.9%ですが、以前の算出方法(NAS 2004-2005)では、5.02%となります。成長率の大幅な上昇は、製造業(製造業として分類)でのサービスを基本とした要素が含まれていることが原因で、インドの経済構造をより正確に反映しています。 また、NAS 2011-2012では、2014年3月末までの会計年度におけるサービス部門はGDPの50.91%と、以前の方法で算出した57.03%と比較するとその割合は縮小しています。反対に、インドの工業部門は各構成要素(製造業、鉱業、建設業)でGDPに占める割合が拡大しています。その中でも目を引くのが製造業で、以前の12.89%からGDPの17.06%を占めるまでになりました。 今回の変更により製造業のGDPが拡大しましたが、インドの経済構造の性質から見ると妥当と言えるでしょう。追加されたデータソース(主にMCA21データベース)が現存する製造企業のデータを補足しており、製造業が高い数値を示した一因となっています。反対に、リベース後の運輸、倉庫、コミュニケーションサービスは2014年3月末までの会計年度で総額7兆800億インドルピーと、以前のシステム(NAS 2004-2005)の7兆8,100億インドルピーと比較すると減少し、前年の統計と同様の傾向を見せています。 しかし、新たなNAS 2011-2012に批判がないわけではありません。特にリベース後の名目GDPの下方修正はさまざまな経済リスク比に影響を与えています。以前は未報告だった企業からの新たなデータソースが含まれているため、2014年3月末までの会計年度における市場価格をベースとした名目GDPは113兆4,500億インドルピーとなりました(以前の国民経済計算(NAS 2004-2005)では113兆5,500億インドルピー)。過去の会計年度の数字にも影響が出ています。例えば、2012年と2013年を見ますと、それぞれ1.97%、1.23%の大きな差があり、過去の会計年度に発表された下方修正後のGDPが全体の成長に上向バイアスを与えるかもしれません。また、以前のあいまいなGDPの算出方法によって(実際よりも大きく)計算された経常収支や国債など、GDP関連の数値にも影響を与える可能性があるとの見方が専門家から出ています。しかし、変更後の経常収支とGDP、国債とGDPの比率は大きく変化することはないでしょう。名目GDPの減少により今回の変更が経済収支と国債の数字に一致しなくなるため、これらの比率は2011年から2012年の会計年度でわずかに悪化する可能性が含まれている程度です。 このレポートの時点では、年次の国民経済計算のみ入手可能ですが、2015年2月中旬に四半期の数値がリリースされたときには、インドのリベースによる影響をさらに詳しく分析することができるでしょう。GDPのリベースに伴う構造変化(サービス業中心から製造業を中心とした経済へ)により、詳細の分析が可能となります。また、四半期統計によって、インドの国民経済計算がどのようにサービス業や製造業の傾向、そして貿易や支出パターンに反応するのかも明らかになるでしょう。 By Ian Lim - CEIC 社アナリスト Discuss this post and many other topics in our LinkedIn Group (you must be a LinkedIn member to participate). Request a Free Trial Subscription. Back to Blog
2015/05/28 (木) - 13:41 インドGDPリベースの早期評価

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