ブラジル:原油価格下落による短期的な恩恵

CEIC Brazil Data Talk - May 27, 2015 ブラジルと国営の石油会社であるペトロブラス社は、2007年にブラジル沖合のプレソルトで大規模な油田を発見しました。この発見により、ブラジルの石油備蓄量は2007年の200億8,500万バレルから2013年には300億2,100万バレルへと増加しています。新たな油田の発見などにより、2014年11月までの石油生産量は7億4,500万5,200バレルとなり、2007年の6億3,800万200バレルから大幅に増えました。最近の原油価格の下落により、多額の費用が必要とされる油田の調査も進展していませんが、短期的に見ると、原油価格の下落は輸入を通じて燃料需要に対応しているブラジルにとって追い風となっており、消費者も企業も燃料費の減少という恩恵を受けています。 世界一の原油確認埋蔵量を誇り、石油の生産量も増大しているブラジルですが、実際は石油の純輸入国となっています。ペトロブラス社はブラジルから原油を輸出しており、2014年には4,507万バレルの石油純輸出を記録しました。また、同社は精製油や石油製品を輸入しています(ナイジェリアが最大の原油輸入元で、サウジアラビア、アルジェリアと続きます)。石油純輸入国のブラジルですが、その背景には需要と供給の関係が絡んでいます。例えば、自動車の所有率です。自動車の台数は2002年から2014年の間に年平均で8%増加し、2014年には8,670万台となったため、石油の需要も増大しました。ペトロブラス社は需要の増加に対して増産に努めていますが、高い開発潜在能力があるにもかかわらず、生産力や技術的な問題によって対応し切れていません。ブラジルは2014年、石油や石油製品、その他石油関連物資の輸入に330億7,900万米ドルを支出しましたが、輸出は200億5,900万米ドルとなっており、多額の赤字となりました。原油の輸出による対外収入は減少していますが, 石油の輸入コストが低下することによって純利益を得ています。 短期的に見て、原油価格の下落はペトロブラス社に恩恵をもたらしています。輸入した燃料を国内で販売する際は、政府が管理する価格で安く取り引きされ、原油価格が高い場合でもインフレを抑制するために低く抑えられています。政府が実施している燃料価格政策は石油会社の負担となっており、ここ数年はペトロブラス社の総売上高も減少を続けてきました。管理価格での販売は、ペトロブラス社の下流部門にとっても財政的な重荷となり、2011年の第一四半期から2014年の第二四半期まで14四半期連続で純損失を記録しました。主な原因は販売した製品のコスト増加で、粗利益を押し下げた結果となりました。そのため、ペトロブラス社の連結純利益は2010年の350億9,000万ブラジルレアルから2013年は230億1,000万ブラジルレアルへと減少し、2014年はさらに落ち込むことが予想されています。2010年の192億9,000万ブラジルレアルから2013年には422億7,000万ブラジルレアルの純利益を記録した調査部門や生産部門もありますが、赤字が続く下流部門やその他の部門を含めると、ペトロブラス社の売り上げは伸び悩んでいる状況です。しかし、世界的な原油価格の下落がペトロブラス社にも一時的な休息をもたらしており、特に下流部門は国内の原油取引価格が固定化されている中で、石油のコスト減少による恩恵を受けています。 原油価格が下落しているこの時期、ブラジルとペトロブラス社は国内の需要に対応するために海外の石油に頼るだけでなく、精製や生産力に関する課題に取り組むべきでしょう。精製能力が改善されれば、大規模な原油埋蔵量を活用し、国全体の生産性を向上させることが可能となります。また、海外の石油への依存も減少し、将来的に再び値上がりが予想される原油価格の上昇に対する影響も減らすことができるでしょう。 By Bruno Vasconcelos - CEIC 社アナリスト Discuss this post and many other topics in our LinkedIn Group (you must be a LinkedIn member to participate). Request a Free Trial Subscription. Back to Blog
2015/05/27 (水) - 12:50 ブラジル:原油価格下落による短期的な恩恵

データを探る

提出する