ASEANの自動車販売:2015年は減少

2013年に360万台と過去最高を記録したASEANの自動車販売台数ですが、2014年は9.9%減少し、2015年も、ASEANの主要な自動車市場であるインドネシア、マレーシア、そしてタイの経済成長鈍化により、2年連続で落ち込むことが予想されています。一方、フィリピンとベトナムでは経済成長による収入の増加に支えられて自動車販売は好調を維持しており、この傾向は今後も続くと見られています。長期的に見ると、ASEANの自動車販売は、ASEAN経済共同体(AEC)の発足によって市場や生産拠点が1つに統合するだけでなく、地域の好ましい人口構造にも支えられていくでしょう。 インドネシア:自動車販売に影響を与えている高いインフレ率と金利、ルピア安 2010年から2013年まで4年連続で過去最高を記録してきたインドネシアの自動車販売ですが、経済成長の鈍化による消費者の信用悪化、ルピア安による自動車輸入費用の増加、そして高いインフレ率が消費者の購買力に影響を与えており、2014年は1.8%減となりました。2015年上半期は対前年比で18.2%減の525,458台、6月は年ベースで25.7%も落ち込むなど、10か月連続で対前年比を下回っています。 自動車の販売を促進するため、インドネシア銀行は2015年6月に自動車ローンを組む際に必要とされる頭金の金額を5%切り下げました。また、自動車製造業者は消費者を引き付けるために低金利ローンの提供やローン期間の延長にも取り組んでいます。しかし、物価の下落や燃料補助金の見直し、経済成長の鈍化が消費者の意識に影響を与えているだけでなく、高い金利や加速するインフレ、ルピア安が消費者の購買力を低下させており、自動車販売は2年連続で落ち込む予測となっています。 マレーシア:高い家計負債、燃料補助金の見直し、物品・サービス税が自動車販売の足かせに 2014年に過去最高の666,479台を記録したマレーシアの自動車販売ですが、2015年の上半期は対前年比で3.3%下落の322,184台となりました。2015年4月に6%の物品・サービス税(GST)が導入された影響で、6月の自動車販売は年ベースで1.9%減となり、3か月連続で落ち込んでいます。2015年の自動車販売はビジネスや消費者意識の悪化、燃料補助金の見直し、GSTによるインフレ加速、物価の下落による農家収入の減少、高い家計負債による信用状態の引き締めなどが消費の傾向に影響を与えています。 タイ:高い家計負債、経済成長の鈍化が3年間も自動車販売に影響 政府による1台目マイカー減税や2011年に発生した大洪水からの復興もあり、2012年にタイの自動車販売は過去最高の140万台を記録しました。しかし、1台目マイカー減税の影響は2012年末に失速し、自動車販売台数は2013年が7.3%、2014年が33.7%減少しています。2015年も、高い家計負債や信用状態の引き締め、物価の下落、そして経済成長の鈍化により、自動車販売台数は3年連続で落ち込む見通しです。 すでにこの傾向は顕著となっており、2015年上半期の自動車販売台数は対前年比で16.3%減の369,109台、6月は年ベースで18.3%減と、26か月連続の減少を記録しました。家計負債や経済成長の鈍化だけでなく、輸入の減少や物価の下落(特に米やゴム)により農家の収入が落ち込んでいることも消費者の意識に影響を与えています。タイ国内の自動車販売台数の1/3を占めるトヨタ自動車も2015年の販売台数減少を予測しており、タイ国内の年間目標販売台数を330,000台から280,000台に下方修正しました。しかし、2015年上半期の自動車販売台数は122,804台(対前年比25%減)となっており、修正後の目標達成も厳しい状況となっています。また、2011年に1台目マイカー減税で購入した自動車は、2016年9月に下取りへ出すことが可能となるため、中古車の供給増加が新車の購入にも影響を与えるでしょう。 フィリピン、ベトナム:安定した経済成長と収入の増加が自動車販売を後押し フィリピンでは、自動車販売が3年連続で二桁の伸びを見せており、2014年は234,742台と過去最高を記録しました。2015年も収入増加や経済成長に支えられ、販売台数は増える見込みとなっています。2015年上半期は対前年比で20.7%増の131,465台、6月も年ベースで23.3%増となっており、34か月連続で対前年比を上回っています。 ベトナムでは、2013年、2014年と2年連続で自動車販売台数が二桁の伸びを見せ、2014年には過去最高の131,047台を記録しました。自動車輸入税の税率が高いにもかかわらず、所得増加や経済成長に支えられ、2015年も増加する見通しとなっています。2015年上半期は対前年比で65.9%増の90,362台、6月は年ベースで63.3%増を記録し、27か月連続で対前年比を上回りました。2015年上半期を見ると、フィリピンとベトナムは好調な自動車販売を記録しましたが、インドネシア、マレーシア、タイの落ち込みがそれを相殺している状況となっています。 長期的展望:人口ボーナスに支えられるASEANの自動車販売 短期的に見ると、2015年のASEANの自動車販売は落ち込んでいますが、長期的展望では、好ましい人口構造や収入の傾向に支えられる見通しとなっています。2015年のAEC発足により、6億の域内人口と生産拠点が1つの市場に統合されることによって地域の自動車販売が大幅に促進され、自動車製造業者の競争も活発になると予想されます。自動車販売は、消費者市場の拡大、若年層ドライバーの増加、従属人口指数の低下、低い自動車所有率、中産階級の増加、貿易自由化などに支えられるでしょう。。
2016/02/05 (金) - 08:02 ASEANの自動車販売:2015年は減少

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